一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

視詰める

鬼平でも剣客商売でも、視線を切結ぶだの眼の奥を覗くだのと、互いに視詰め合う場面または台詞が、しばしば出てくる。しかし日常の暮しで、他人をそれほどしげしげと視詰める機会が、あるものだろうか。 想像中では、また頭のなかでは、たしかに意識し考えて…

習う

緊急ナントカで先行き不透明だけれども、近ぢか読書会に参加する予定が入っている。何十年ぶりだろうか。 ごくお若い元教え子さんらが、読書会を立上げると耳にして、末席に混ぜてもらえないかと願い出て、許されたのだ。おそらく私の知っている本などは読ま…

同時性

ビックカメラの営業時間を確かめたくて、検索した。営業中~19:00、と出た。 飲食店などを検索したさいにも、しばしば登場する「営業中」という表記。感慨深い。いかにもスマホ時代だ。今から行きたいんだけど、やってる? に対応しているわけだ。 当方は、…

脂身

その脂身が旨いのにぃ、そのアラに味わいがあるのにぃということは、よくある。 テレビを観なくなって十年近くなるものの、根が大衆娯楽好きだから、ユーチューブで古い映画やテレビドラマを観る。鬼平も必殺も、清張も相棒も観る。青春初恋や戦隊ヒーローは…

ダンゴムシ

刈りとった草は一か所にまとめておいて、水曜土曜の家庭ごみと一緒に、袋詰めにして出さねばならない。 桜の葉が大量に散る季節は、花梨の落葉とともに、そこらに穴を掘って埋める。気休めに過ぎないが、わずかなりとも土に返そうという、言い訳のような気分…

ドクダミ

草むしりは、第一食前の五分間作業のひとつ。朝食前と云いたいところだが、起床後最初の食事が朝とは限らないので、第一食と称ぶ。一日二食主義者だ。 視た眼以上に重労働なので、五分で切上げても差支えないことにしている。思わず気合いが入って、一時間作…

視てる人

お政「あんたには、いろんなこと、教わったねえ」 長窪の佐助「あのころは、楽しかったなあ」 偶然の再会から、生き死にをかけた事件に巻込まれてゆく。鬼平犯科帳のとある回。 定番の台詞だが、廃れないのは、茶の間のだれもに、同感する想いがあるからだろ…

旅愁

待ってました定年、という標語を眼にしたことがある。今は納得がゆく。生きている間にもう一度読み直しておきたい本や、未読のままで心残りの本が、いっせいに押し寄せてきて、いやはやフリーランス野良犬という稼業、思いのほか忙しい。 週単位で動く必要が…

ほとんど

昨日の日記にたいして、古い仲間から、居酒屋で巡り合せたご婦人をなぜ深追いしなかったのかと、コメントをいただいた。ガールハント(死語か?)の気概が足りぬとの叱咤激励だ。 心外である。固有名詞と経済観念については、めっきりボケ老人となり果てたが…

あらぬ誤解

入院生活にも、当初・頂上・退院待ちと、それぞれの気分があって、退院待ち期に入ると、退院したらさてまず何を食うかと、あれこれ想像を膨らませて日々過すようになる。 五年前の入院のさいには、よぉし退院したら鰻重食うぞぉ、と意気込んだものだった。昨…

離島

緊急事態ナントカで、皆さんご不自由と闘っていらっしゃるというのに、私ときたら、なんとまあ気楽に過していることか。もともとスーパーでの買物と散歩以外に外出の機会などなかったところへ、最後の非常勤職も定年になってみたら、パスモがいっこうに減ら…

餡こ

和菓子って、つまりは餡こを味わうものだ。餡こだけでは食べにくいから、皮を巻いて蒸かせば饅頭となり、餅で包んで粉をまぶせば大福となる。水溶きした粉を薄く塗って焼けば金鍔となり、濃い水溶き粉をたっぷり使えば今川焼・鯛焼となる。もち米粉を練って…

始めたといっても。

お人任せなのですが。まだ慣れません。