一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ひとまず

あのね玉葱君、もしもし聴いてますか? もしかして自分をカボチャかなんかと、勘違いしてやしませんか? ずいぶん育ちましたねぇ。ま、おゝいにけっこうではありますけれど。 笑ってる場合じゃありませんよ、蕪君。君だって他人事じゃありません。そんな大き…

気はココロ

弁当買い食いで、手抜き食事。家事に気乗りせぬ日だ。 昨日は月一回のユーチューブ収録日。お若いディレクター氏が、機材一式を収めたトランクを提げてご来訪くださる。 演しものは一任されていて、どんなネタを喋ってもよろしいことにしてくださっている。…

有名

正面。 思い出の品だ。地震被害に遭っても、幸いに生残っている。 茨城に城戸夏男さんとおっしゃる陶芸家がおられた。私ごときが作品を所持したり、親しくご厚誼いたゞけるようなかたではなかった。文学愛好家の医師である大先輩が昵懇の間柄で、そのかたの…

全冷中

「全冷中」をご記憶のかたも、少なくなってきたろうか。正式名称をたしか「全日本冷し中華愛好会」と云った。 学園紛争の余燼すら感じられなくなり、ベトナム戦争も終息に向うかというころだった。ピアニストの山下洋輔さんが、ある蕎麦屋で冷し中華をご注文…

グリーン

うっそうたる青葉。好いもんですなぁ。 近所のフラワー公園。向うの城西大学附属高校の校舎が隠れてしまう。 砂場や遊具が集中するあたりには、お子たちを遊ばせるお母さんがた。お父さんもお一人。好いもんなんでしょうなぁ、きっと。 離れたベンチには、車…

眼の記憶

いわゆる、ひとつの……区立児童公園における、もっとも想定された用途。 日差しの好い午前には、運動と日光浴を兼ねた散歩。近所の保育園児と保母さんたちだ。各ご家庭で保護者さんがこれを連日なさるとなれば、さぞや大変。これだけでも保育園の存在価値があ…

遠くまで

片方のテンプル(つる)が壊れてしまって、捨てられたらしい。枯葉やゴミがきれいに掃かれてあるところを視ると、さほど時間は経っていない。 逃げる相手に追いすがって、いきなり顔面を殴った。そのまま連れ去られた……。サングラスをかけて逃げていたほうが…

長短

もとは十羅刹女社と称ばれていたらしい。地元の長崎神社のことだ。 長崎神社の創建がいつ頃のことか、はっきりした記録は伝えられてないそうだ。江戸期の大火にて喪われたのでもあろうか。そうした例は、東京には多い。 当然ながら、コンクリート塀一枚隔て…

唄・まゝよ

♬人参はァ~ ヘタと尾落し 皮を剥きィ~ ひと口大に 切ればしづけしィ~ ♬じゃが芋はァ~ 芽とキズえぐり 真ふたつにィ~ 半皮のこし 面取りゆかしィ~ ♬下茹ではァ~ 鍋大きめに 水多めェ~ ぬるきうちより 具ぞ投じたるゥ~ ♬いにしへのォ~ 匠の教へ 尊か…

ふり掛ける

今日は大事な仕事で出掛ける。重要な用件で人と会う。そういう日には「カツ」と付く食べものを摂る。もっともありふれた、庶民的なゲン担ぎだ。 お若いかたからは嗤われてしまうことだろうが、子ども時分から三十歳ころまで、一番好きな食い物はトンカツだっ…

梅雨ちかし

おやっ、ムクドリ! ご近所の鳥たちにとって、東西南北往来の中継地となっている、音澤さんのお宅の庭木だが、人間の眼には塵埃としか見えぬ微小な種子が、大量にアスファルト道路に降るらしく、さかんについばむスズメの家族をよく観かける。 昨日の朝はス…

浮世床

歳暮カタログを撮影してから、まだいくらも経っていない気がする。百貨店の中元用カタログが、もう来た。 なにもないことは好いことだという、これも一例だろうか。日々是好日とは、いかなる含意だろうか。 いやそれは思い上りか。大切なこと、心に留めおく…

うちのひと

渡辺達生撮影、墨田ユキ写真集『MADE IN JAPAN』(ワニブックス、1993)より無断で切取らせていたゞきました。 男から視て都合の好い女、と片づけてよろしいものかしらん。いえね、『濹東綺譚』のお雪のことなんですが……。 墨田ユキさんは、新藤兼人監督の映…

着眼

「世田谷ピンポンズ」さん Twittere より無断で拝借しました。 世に隠れた才人というものは、いらっしゃるもので……。 かつて「週刊朝日」巻末に、山藤章二さん選考・ご指導による「似顔絵塾」が連載されていた。投稿者による似顔絵の傑作により構成される、…

反文明

花に恨みはありません。でも、あと一週間以内の命です。しかたないのですよ、ユキノシタ君。 いく度も書いたことだが、拙宅に庭などはない。門の代りの木戸、と申しても正しくは合金と軽金属により加工された扉だが、その木戸口から玄関扉まで、幅も奥行もわ…

ハブ樹木

道路を挟んで拙宅の筋向うにあたる音澤さんのお宅は、ゆかしき意味で自由放任のお宅だ。政党からポスター掲示の願い出があると、差障りでもない限りは許可していらっしゃるらしい。国家権力政党も泡沫政党も差別しないというかたちで、不偏不党を表明してお…

第三位

昨日に引続き、取るに足らぬ些細なもんに、飽きがくる噺で。 たしか昨年の今ごろか、久かたぶりに肉じゃがをつくって、数日かけて食べ了えるとまた肉じゃがを仕立てるという時期を、しばらく続けた。水加減も調味料の配合も、以前のことなどろくに憶えちゃい…

蹉跌

どんな些細なことにも、飽きがくるというときはあるようで。 いつ頃までだったろうか、瓶入りのインスタントコーヒーをスプーンでカップにとり、湯を注いでいたのは。すいぶん長い年月、さようにしてきていた。 お若いかたの嗜好の多彩化によるのだろうが、…

街の絵柄

ヤマボウシとハナミヅキの見分けかたを、知らない。 高校時代の学友亀戸君のお通夜に参るべく、久びさに電車に乗ることに。 わが駅前に立って花を着けているのは……。しばし立停まって眺めてから、まぁ通夜の日でもあることだし、常緑系の山法師ということに…

健康?

いわゆる、なんと申しましょうか、深夜のありあわせ。 だいぶ以前だが、写真家の高梨豊さんや、現代美術の赤瀬川原平さん、秋山祐徳太子さんらが「ライカ同盟」を名乗られて、機知に富んだ独自視点による写真活動をなさっておられた。 主要な主題のひとつに…

からめ手

網戸ってえもんは、奴さんにとっちゃあ、まことに摑まりやすい、このうえなく登りやすいもんなんでしょうなぁ。いえ、ヤブガラシの野郎のこってすがね。けど、まさか壁のこっちがわから、つまり腹のほうから撮られるとは、思っちゃあいなかったことでしょう…

言いわけ

これは俺なんぞが食うもんじゃねえな、が第一印象だった。今は定番一品に数えられる準レギュラーだ。現金なもんである。 ツナマヨという料理が、いつ頃から世に出回ったのかは知らない。視るからに私の興味を惹かぬ食品だ。大根おろしに合せても、醤油をかけ…

桐箱

桐箱に収められて、丁寧に包装された品物。こういうものを受取るのは、いつ以来だろうか。 友人の音楽家が今年に入って、夫人を亡くされた。はたからはご病気知らずに見えたお元気な奥さまだっただけに、衝撃は巨きかった。 ご夫妻もお子たちも、芸術・芸能…

あえて

昨年のいつ頃だったか、有名メーカー品のチョコレートを比較検討していた時期があった。今はしていない。 カカオ含有率 60%、70%、80%。当然ながら含有率の高い商品ほど、苦味が濃い。ビター味、というのだろうか。各社の商品とも、ひと口サイズの薄切り…

定義不足

この数式の答えは? 河野玄斗さんのチャンネルで、興味深いことを教えていたゞいた。 答を「9」とする人と「1」とする人とがある。素朴な疑問に出発して、世界の数学者たちを二分する論争にまで、発展したのだそうな。計算機に問うても、「9」と答える計算機…

いかん!

老眼鏡を買い足そうかと考えている。 四十歳過ぎたころから、老眼が始まった。幸いにして近視の遺伝形質を持たぬ家系なので、サングラスを除けば、その齢まで眼鏡とは無縁に過してこられた。それだけに、初期老眼の特徴である、まだら老眼の乱視併発による、…

満開宣言

一度書いた、お向うの粉川さんご門柱脇に場所借りしているクローバ。あの時はツボミだったが、たゞ今満開。 そのお隣、つまり拙宅筋向うの音澤さん駐車スペース脇に場所借りするクローバも、同じく満開。咲きっぷりを観ても、やはり兄弟だ。どちらが風上か風…

ある時代

たいへんなニュースがとび込んできた。 レッドウェーブのシィこと篠崎澪が現役引退を表明。松蔭大学時代からの後輩でもあった内野智香英も、引退を表明。司令塔町田瑠唯の渡米と合せて、レッドウェーブは大幅に変貌することになる。 昨年の、フォワード陣の…

変化する

新井 満(1946-2021) 小説家、詩人、シンガーソングライター、映像プロデューサー、写真家、絵本作家……。とにかく多芸多才なかただった。それらの前に、電通社員だった。 それでいて、ガリガリ掘削するようにお仕事をなさっているようには、見えなかった。…

二年目〈口上〉

―― 口 上 ―― 東西とぉうざぁ~い ! かずかずブログ多いなか、ご縁をもちましてお眼汚しをかたじけのういたしましたる、あなたさまにひとこと、おん礼ご挨拶申しあぐべく、貴重なるお時間を少々頂戴いたしまする。 当「一朴洞日記」またの名を「老残妄言の記…