一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

いっぱい。

 鉄道乗車以外ではパスモを使わない。今日じつに久かたぶりに使用した。

 まず三省堂書店へ。わずか新刊小説一冊と雑誌一冊の買物。残り生存時間に読めるかとの不安があるので、買物もついつい消極的になる。
 あわっ、レシートを二枚くれた。と思いきや、一枚はクーポン登録券だった。抽選で十五名様に図書券一万円くださるらしい。ほかに「豪華商品」とある。三省堂全店となれば、どれほどの客が来店するものだろう。その中から総額十五万円。なんとまあ控えめな賞金だ。システムを整備し「豪華賞品」を仕入れ、運営実施する経費のほうが、よほどかかるに違いない。
 どれどれ、まずエントリーすれば、漏れなく電子書籍二百円オフ。私は電子書籍にいっさい触らないので、関係ないか。そうして、このQRコ-ドから電子書籍ナニガシに新規入会してエントリー番号を入力すると、抽選に登録されることになるそうだ。スマホ・携帯使ってないのだけれど、どうやって入力するんだい?
 運転免許を持たぬ身で高速道路割引券をもらった気分だ。商品を値引きしていただいたほうが、なんぼか助かるんだが。シオリ一枚でも役立つ。この抽選券は私には役立たない。ま、私ごときが、客として勘定に入っていないことは、ひがんで申すわけでなく、正直に認めるけれど。

 次にビックカメラ本館、地下のカメラ売場へ。なるほど、今やこうなっているのか。たいそうな機能と性能を備えた、各メーカーの凄いデジカメが並んでいる。眼の保養にはなったが、当然ながら私の気を惹くようなものはない。なにせ先月までは、フィルムを現像に出していたのだ。
 たとえば百貨店一階のコスメフロアにも、マツキヨにも、マックスファクター・サンローラン・資生堂はある。が商品はまったく被っていない。パンフレット表紙やポスターのモデルからして、まったく別仕立てである。パリコレやミラノ、ニューヨークのランウェイを今現在歩いているスーパーモデルたちに、マツキヨでお眼にかかることは、まずない。お眼にかかる必要も必然性もない。
 それと同じで、最初からマツキヨへ行くつもりだったのに、ちょっと百貨店を通過してみる気分で、ビックカメラを覗いてみたわけだ。面白かったが、少し疲れた。

 タカノサロンに寄って、珈琲とカレーパン。ここは甘口ビーフカレーのパンだ。昼休み時なのに、店内は眼を見張るほどがら空きだ。奥の喫煙コーナーが消えて、はや一年になるだろうか。今さら不平も申しませんが。
 サロンを出て、駅前ロータリー中洲に設けられた喫煙所の前を通ったが、ロープが張ってあって、緊急ナニガシの期間中は閉鎖との札が下っていた。
 またパスモを使って、我が町内に戻る。ダイソーで色紙と色紙ケースと筆ペンとのど飴。ビッグエーでブロッコリー・もやし・塩鯖・納豆・茹小豆缶・竹輪・濃縮カルピス。〆て二千円少々。それに三省堂が三千五百円。買物袋はいっぱいだ。