一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

勝った

 勝った…。選手たち、やってくれた。
 凄絶な試合だった。スペインは強かった。対アメリカ戦では封殺されていた、柔らかみのあるシュート力が、蘇っていた。もちろん、制空権はスペインのものだった。一時は、点差も広がりかけた。
 日本チームは、諦めなかった。じりじりと、追いすがった。試合時間残り十秒あまりで、一点ビハインド。かろうじて同点にして、延長戦へ。
 これ以外に、勝ち筋はない。メンタルの細道。どう戦力分析したところで勝てそうもない相手を制した。
 この試合は、語り継がれることになるだろう。ユーチューブにも挙げられ続けることになるだろう。

 選手たち、おめでとう。馬瓜ステファニー、MVPおめでとう。
 閉会式での君たちも、素敵だった。

 これで五人制男女、三人制男女、すべてのカテゴリーで出場権を獲得したことになる。だが今日の四人は、開催国特権ではない。激烈な予選を勝ち抜いて出場するのだ。

 東京オリンピックが開催されるかどうかなど、関係ない。彼女たちは、オリンピック選手である。