一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

セーヌ河岸

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風間 完 様 ご逗留中。

風間完銅版画集 パリ時代Ⅲ 河』(11点組)のうち「河岸」。(8,8×8,8cm)
銅板製作1978年、刷り1979年。限定75部のうち、第52番。

 もと組みものだったはずが、私ごとき末端へと流れつくまでにバラとなり、神保町R書房様より拙宅へとご来訪。もう何年もご逗留。
 今からご兄弟の52番様たちを探したい気が起きぬではないけれども、私の力では、とうてい無理。端物のまま、生涯愉しませていただく所存。

 もとより風間画伯について、多くを知る者ではない。ただ、週刊誌上の連載小説に挿画を描いておられたので、自覚せぬままに、ずいぶん数多くの画を眼にしていた。控えめで涼しい面立ちの、なんとも上品な美人画だった。
 挿画以外の画業を含めても、美人画が人気を博しているのだろうが、私は風景画が好きだ。飄然たる佇まいとでも云おうか、さっぱりして清々しい街角風景である。

 低所得者の私に、画は贅沢というもの。このバラ版画でさえ、清水の舞台から飛び降りる心地の決断をしたのだった。
 (申すまでもありませんが、もとの作品は著作権に護られているでしょうから、引用にはご注意ください。)