一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

息を詰めて

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どなたか、ですって? いゝんです、お解りのかただけで。

 おかげさまで、我がレッドウェーブ。ただ今、レギュラーシーズン16勝無敗。15勝1敗のデンソーとともに、プレーオフ進出を決めました。ありがとうございます!
 Wリーグは今シーズンから1チーム増えて全13チームでの闘い。レギュラーシーズンは総当り各2試合で全24試合しますが、数字上、残り全試合に敗れたとしても、上位8チームでのプレーオフに進出できるというわけです。

 シーズン前半は、昨年下位チームや新加入チームとの対戦が、消化されてきました。
 昨シーズンまでは、よろしくない癖で、やゝもするとリーグ前半に1~2試合、格下チーム相手に取りこぼしがあったりしました。長期戦のなかで、気分がエアポケットに陥る日がどうしても避けられません。どのチームも同様です。しかし今年のレッドウェーブにはそれがありません。着実に勝ってきました。ライバルのデンソーエネオストヨタ自動車は、それぞれ一試合ずつ下位チームにやられていますが。

 さていよいよ上位陣による星のつぶし合いに突入です。残る相手は、三菱電機デンソーエネオストヨタ自動車との8試合です。
 三菱電機については、今シーズンのチーム力は、はっきり云って当方が上。しかし伝統の強豪チーム。油断はなりません。9勝5敗ですが、今後は対上位チーム戦です。それに続く日立ハイテクシャンソンはともに6勝8敗で追いますが、上位チームとの対戦は済んでいます。つまり三菱電機も必死です。

 いちおうその3チームはプレーオフ出場圏内。が、さらに下のアイシン、山梨QB、東京羽田の3チームは、星勘定こそ挙っていませんが、チーム力は昨シーズンより向上していて、動画をチェックした限りでは試合内容も充実しています。いずれも、対上位チーム戦をすべて済ませています。
 ということは駅伝におけるシード権争いのような、中堅チーム同士の星のつぶし合いが、これから繰り広げられるわけです。星勘定が一方的に傾いたりすれば、順位変動もありえます。レッドウェーブとしては、対三菱電機戦も油断できぬというわけです。

 問題は、デンソーエネオストヨタ自動車の3チーム。シーズン開始前は、いずれもむずかしい相手だと踏んでおりました。正直申して、分が悪いのではと。
 ところが女王エネオスの今シーズンは、例年どおりではありません。大規模な移籍補強(出入り)によって、まだ新チームが安定していない感じです。それでも経験か貫禄か、先日の皇后杯ではからくも優勝をもぎ取りました。しかしこゝまでの試合内容を検討いたしますと、勝機はおゝいにあります。

 今年のデンソーは強いとシーズン前に予想し、この日記のどこかにも書いた覚えがありますが、蓋を開けてみると、果せるかな予想どおりになりました。皇后杯は準優勝でしたけれども。
 アカツキナショナルチーム)のキャプテン高田と、将来の大型エース赤穂姉妹が分離した感じのチームだったのが、本川が補強されて間が埋りました。かつて札幌山の手高校にあって、町田瑠唯とのコンビで高校三冠をやってのけた、あの本川紗奈生ですよ。赤穂ひまわり(赤穂姉妹の妹)も、オリンピックを経験して、積極的になりました。
 レッドウェーブは皇后杯の準決勝で、このデンソーに敗れてベスト4でした。Wリーグは雪辱戦です。

 その前の準々決勝でレッドウェーブは、昨シーズンのリーグ覇者であるトヨタ自動車に勝ちました。が、皇后杯トーナメントでの一発勝負と、リーグの流れの中での試合とでは、また異なります。強敵であることには変りありません。
 エヴリンとステファニーの馬瓜姉妹は、ともにオリンピックを経験して逞しくなりました。ことに妹のステファニーの種目は3×3でしたから、バスケのゴール下が格闘技にほかならぬことを体得したと見え、良い意味で図々しくなりました。

 その姉妹以上に、パサー兼シューターである上の二人、山本と三好が凄い。山本麻衣はオリンピック3×3出場全選手中もっとも小兵でしたが、パス判断とディープツーは世界から注目されました。
 そして炎の三好南穂。超エリート高校桜花学園では先輩も後輩も全国優勝者だらけですが、彼女は無冠でした。突然変異のごとくに二年間、札幌山の手がいたのです。一年上級に町田瑠唯本川紗奈生が、同学年には長岡萌映子がいました。この二年間の札幌山の手は、手が付けられませんでした。
 注意して観戦してください。今でも富士通×トヨタ自動車戦では、レッドウェーブの町田がスリーを決めた直後には、かならず三好がスリーを打ちます。町田がドライブインした直後にはきっと、三好がドライブインします。彼女は今でも、町田にだけは後れを取りたくないのでしょう。
 そして渡世の妙。同学年の札幌山の手でキャプテンだった、いわば宿敵だった長岡は今、トヨタ自動車にあってチームメイトです。ともに他チームを経た揚句の移籍により、こゝで一緒になりました。
 アカツキの合宿では、どちらかというと物静かに微笑んでいる姿が印象的な三好ですが、胸中の炎には、ことにレッドウェーブを相手にしたときの闘志には、凄まじいものがあります。ライバルチームながら、この選手、好きです。

 疫病下の老人ゆえ、今シーズンはけっして会場へは行かぬと、シーズン前に決断しました。オリンピックをきっかけに急増したファンが、会場へ詰めかけてくれましょうから、老人の出番でもありません。幸いにして今シーズンから、SPOZONE という動画サイトで全チーム全試合を、フル観戦かダイジェスト観戦できるようになりましたので、相手チーム事前視察も容易です。いざ鎌倉。雌雄決着あるか下剋上あるか、息を詰めて観届ける所存。素浪人もけっこう忙しい。