一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

小窓より

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 雪が来るぞぉ―、今夜は寒くて仕事が手に着かんぞぉ―! こういう夜は、熱燗だな。仕事を断念した夜の退屈しのぎは、「ラジオ深夜便」と常備菜の仕込み・補充。

 籠城戦に備えて、野菜は買い込んである。毎度おなじみ、揚げびたしか。便利な常備菜ではあるが、調理に時間が掛るのが難点といえば難点。で、こういう暇つぶしの夜にはもってこいだ。

 まずはタレ造り。水と酒を2:1。水よりも酒を沸すという感覚。微塵切りにした生姜を投入。市販の出汁の素の応援も仰ぐ。砂糖は常識感覚よりは多めに投入するのが肝。一度沸騰させてから醤油の出番。ネットに上げられたレシピ等では、砂糖と同量の醤油とされる投稿者が多いようだが、私の醤油は砂糖よりは少なめ。こゝまでを、その都度おたまでゆっくり馴染ませながら、様子を看つゝ進行。
 酒・砂糖ベースに醤油が馴染んだのを確認して、火を弱め、酢を投入。こゝで失敗すると全部駄目にする。手前から攻めて、味か酸っぱくなる直前でストップ。熱いうちから酸っぱいようでは、冷めてから酢味が強くなり過ぎる。
 味見をすると、酢の湯気で軽く咳き込む。洗い桶に水を張って、鍋ごと漬けて冷ます。

 生椎茸を水洗いして、古新聞の上で水切り。その間に人参の皮むきと刻み。茄子を食べやすい大きさにカット。熱が均等に通って、食べやすい軟らかさになるには、どう切れ目を入れるか。毎回実験と検証だ。水が切れた生椎茸は軸を切離して、石突を切り捨てる。残ったわずかの軸も使う。笠には、漫画イラストにあると同じく、十文字に包丁を入れておく。
 こゝで小休止。燗徳利は二本目をつける。
 タレが冷めたらバットに移して、市販のチューブ擂りおろし生姜で味を調整。柑橘系が欲しいところなれど、贅沢は敵。我慢する。

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 で、揚げ。低温の油でゆっくりじっくり揚げる。料理番組の先生がたはこゝからだもんなァ。楽だよなァ。

 今夜は最少定連トリオ。以前は、ピーマンとカボチャが加わっていた。秋刀魚も加わっていた。鶏肉が代打の時期もあった。なくても成立するかな、という実験のなかで、休暇に入っていった。もっと古いメンバーで、復帰が期待されているのがレンコンである。調理前日から酢水に漬けて一夜置くので、手間は掛るが、じつに視上げた仕事をしてくれる。

 が、ともあれ、揚った順にタレに漬かって休む。全員漬かったら、ラップをして余計な気化を防ぎ、冷蔵庫にて明日まで眠る。
 燗酒はこゝまでにして、紹興酒に換える。かなりの労働をした気分で、小腹が空いた。紹興酒と相性抜群の、冷凍焼売を冷凍庫から出し、蒸しの用意だ。
 トイレの小窓から外を視る。どうやらたいした雪には、なりそうもない気配だ。