一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

いたち

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これが、

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こうなる。

 朝、就寝前の三十分作業。枝刈りと草むしり。

 寒いうちは、勇気が出なかった。あらゆる木の枝草の芽、こぞって元気。もう待ったなし。当方も行動開始せねばならない。
 とはいえ、年寄りの冷や水は墓穴の一丁目。日に三十分の鉄則を維持するに限る。
 冬季休労期間明けに加えて、引籠り生活で六キロ四キロいずれのコースへも、ながらくウォーキングに出なかった。怠惰自己中の天罰てきめん、たちまち息切れ。

 まずは本来この場所にいるはずではないネズミモチ、ふた株。モチノキの仲間にあって、このネズミモチは実を着けるため、鳥が糞のかたちで運んで来るのだろう。甘く視ていたら、根づいてしまった。
 先年、植木職のお兄ちゃん(桜の親方とは別人)に伐り倒してもらい、命に止めを刺す毒薬を、切株に染み込ませてもらったのだが、どっこい敵もさるもの、絶命しなかった。毎年ヒコバエのように、脇枝を出してくる。

 そんな毒薬を何度も使用するのは、きっと良いことばかりはないのだろうから、出てきた小枝を、毎年自分で伐っている。
 併せて、切株から地中へと四方に伸びた太根を、年月かけて少しづつ、掘起しては伐っている。そのうち弱ってくるだろうと目論んだのだが、案に相違して敵もしぶとい。
 それにしても、地下部分は想像をはるかに超えて大きくて広く、一本の太根がどれほど枝分れし、障害物を避けてうねうね伸びてゆくものか、毎年舌を巻く

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こゝが、

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こうなる。

 ふた株めのネズミモチの先は、フキの群棲領域。明日にしようかとも思ったが、半分ほど抜いてみた。
 食用にする可能性はと、初めは軍手を地中に差し入れて、丁寧に抜いてみたが、なぁに、拙宅に野菜が自生することなどあるはずもなく、たんなる雑草だった。あとは乱暴かつ適当に抜いた。

 なぜ半分だけでもフキに手を着けたかと申せば、塀一枚で隣接はコインパーキング。多くのお客様のうちには、ほんの稀にではあるが不心得者が混じることもあって、フキの群棲の根方に、ペットボトルや弁当殻が眠っていることがある。今年の状況はいかゞかと、検分してみたかったのだ。
 さいわい今年は、いかにもポイ捨てといった飲食殻は出てこなかった。ご婦人物の雨傘が一本出てきただけ。

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で、こうなった。

 およそ三十分の成果は、数日間積んでおき、水分を飛ばして嵩を小さくしてから、埋められる量は土に返し、あとはゴミ袋に詰める。
 本日の意外。剪定鋏と鋸の切れ味が、いつになく好い。道具類も休養十分で機嫌がよろしいということだろうか。だがシーズン到来。登板頻度が増えるにつれ、どうせずぐ不機嫌になるに決っている。

 伸びては伐る。生えては抜く。年々の工夫進展はあるものの、それに見合って年々当方老化してゆく。いたちごっこの愚かしくも滑稽な年中行事。