一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

お風呂

 本橋麻里

 「一緒にお風呂に入りたい美人アスリート、トップ10」。アンケート体裁の、他愛ない思いつきのような YouTube 動画だけど、考えさせられちゃった。
 恋人にしたいとか、H したいじゃねえんだ。一緒にお風呂。ビミョー。

10位 本橋麻里カーリング
9位 藤澤五月カーリング) 

〈アンケート・コメントから〉本橋選手は推定 H カップ。藤澤選手は姉さんのように相談に応じてもらえそう。
〈ジジイ感想〉逆だろうが。たくましい本橋と可愛らしい藤澤だろうに。競技におけるスキップという役割に引張られて、そうなるのか。全体をとおして「胸」への言及が多いのは、回答者が十代か、せいぜい二十代前半の男子に限られていると思われる。

8位 加藤 優(野球)
7位 坂口佳穂(ビーチバレー)
6位 仲田歩夢(サッカー)
〈コメントから〉砂を払ってあげたい。汗を拭いてあげたい。疲れて帰った彼女をマッサージしてあげたい。目立つ。
〈ジジイより〉ご奉仕願望が顕著。美形スポーツ選手を見上げてかしづきたい青少年の大群。解る。けれど君たちにはまだ早い。その前に、通り抜けねばならぬ段階がある。

5位 渋野日向子(ゴルフ)
4位 阿部 詩(柔道)
〈コメントから〉こゝでもまた胸への注目あらわ。風呂場で阿部選手から、締め技か寝技で一本取られたい。
〈ジジイより〉将来有望な青少年たちだ。たゞし正直過ぎるダロウガ!

――こゝで10位以下の多数得票選手たち。
 高梨沙羅(スキージャンプ)冬季限定種目で割損したか。
 野口啓代・野中生萌・伊藤ふたば(スポーツクライミング)細身かつ筋肉。競技がメジャー化するにしたがい、今後ますます人気上昇確実。
 八木かなえ(重量挙げ)柔道の阿部 詩 選手と同様、ツヨカワイイ・タクマシイ系。
 須崎優衣(レスリング)同上。
 清水梨紗・北川ひかる(サッカー)スピードとルックスのミスマッチが魅力。
 黄金世代の三人(卓球)険しい切磋琢磨。競い合う女子の姿。
 木村文子(陸上100ハードル)陸上から一人だけとは意外。マラソン・駅伝には候補多数。フィールドの跳躍種目ともなれば、有力候補に事欠かない。ところが青少年男子諸君にとっては、モデル体型よりも胸なのか。

石川佳純

3位 池江璃花子(水泳)
2位 本田真凛(フィギュア―スケート)
1位 石川佳純(卓球)
〈コメントから〉池江選手の白血病克服はヒロイン美談としても高評価。美肌の秘訣を聴きたい、もあり。本田選手、とにかく一緒に入りたい。
〈ジジイより〉3位2位とも、競技の華やかさと露出度高いユニフォーム。テレビ中継での扱われかた。さもありなん。特筆すべきは1位の栄冠に輝く石川佳純選手だ。追撃する同種目の黄金世代を尻目に、この姉貴の人気には凄味がある。

 青少年男子諸君の選んだ十人のうちで、爺さんと意見一致したのは、本橋麻里さんと石川佳純さんの二人だけだ。というより他の八人を、爺さんはろくに知らない。
 世界選手権への出国時には、関係者以外に空港での見送りはゼロ。帰国時出迎えには横断幕が張られて、黒山のファンがいっせいに振る小旗の波また波。テレビ中継により突如として湧き起ったカーリング・ブーム。さぞ面喰われたことだろう。カーリング界発展のために、本橋さんは果敢に役割を担われた。水着写真集のオファーにまで応じられた。
 ブームが去れば静寂に戻る。そして冬季五輪でまた盛上り。彼女の眼には、なにが見えたのだったか。本橋麻里さんと聴くと、苦労した女性・強い女性という感じが、私にはする。

 石川さんには、女子力の高い人というイメージがある。熱狂的ファンと自認する倖田來未さんのライブステージを観た直後に、その倖田さんと思いも寄らなかった直接対面するという、テレビ番組のサプライズ企画があった。突然訪れた感激の瞬間に見せた少女・石川佳純の表情には、まことに惹かれるものがあった。
 また長年の卓球修業や中国人コーチとの暮しをとおして、一流卓球選手の多くは中国語に習熟するが、同じく中国語堪能でも、福原愛さんと石川佳純さんとでは、受ける印象がまったく異なる。福原さんは、外国人の可愛らしさを残したまゝ、それをも武器に冗談混じりに自己表現してゆく積極型だが、石川さんは反応・相槌・表情が自然で、感受性が中国語と足並み揃えて流れてゆく感じがする。素直でこだわりのない人柄が伝わってくる。

野田朱美

 ところで、お前のトップ10 はと急に訊ねられても、考えがまとまらない。今年現役引退されたけど、バスケの篠崎澪さんが入るのは確実だが、あとは……。
 時を遡ってもよろしければ、青少年男子諸君がよもや知るはずもないリストから、野田朱美さんを挙げておこう。かつての女子サッカーナショナルチームのポイントゲッターのお一人である。澤穂希さんや川澄奈穂美さんが人気を博した「なでしこ」より、もうひとつ前の時代の名選手だ。引退後は日テレベレーザの監督をなさり、その後いくつかのチームで監督またヘッドコーチを歴任された。日本サッカー協会のお偉いサンのお一人である。ま~凄いんだから。文句なくカッコイイ選手だった。
 現在だって野田朱美さんだったら、今日も気苦労大変でしたねと、風呂場でおみ足を揉んで差上げても。