芸術の秋です。文化の日です。大学祭です。日本大学藝術学部は一昨年、学部創設百周年を迎えました。もよりの西武池袋線江古田駅には大きな広告看板が観られます。ホームにも、改札口外にも、階段側面にもあります。池袋駅のホームや乗換え地下道にもあります。が、あまり知られてはいません。
入構人数に制限があるらしく、事前申込みが必要です。入構時には健康チェックを受けます。ホームページからダウンロードしたチェックシートに過去三日間のチェック項目を記入し、提示して入構します。お天気には恵まれました。
構内は食事禁止です。入口近くに数か所の飲物テントがあるばかり。各伝統サークルによる名物メニューのテントがキャンパス内に所狭しと建ち並ぶ景色はありません。もうもうと湯気が立ち、行列ができる風景もありません。キャンパス内を歩くには、とても楽です。
例年同様にテントは建ててあります。ベンチを並べた休憩所だったり、分別大バケツが並ぶゴミ捨て場だったりします。
大食堂は文字どおり灯が消えています。入口は開放されていて、ゆったりした豪華な休憩所です。「黙食!」の貼出しが、テーブルごとにあります。可愛らしいデザインです。
鳴り物も制限されているようです。音楽系の連中がブンチャカ奏でて、客寄せパレードに練り歩く音も聞えてきません。
もう一度申しますが、お天気には恵まれました。
来校者がたは自然と屋内へ吸込まれてゆく傾向が強く、屋内展示は概して賑やかでした。美術作品展示場も、写真作品展示場も盛況でした。放送学科連中は常時スタジオ放送を続けて、玄関ホールの大画面に流し続けていました。スタジオ見物もできるのでしょう。そこまで足を運べませんでしたが。
落語研究会の寄席も、熱血漫画根性会の似顔絵サービスコーナーも、健在でした。が、かつて定連でありながら、こゝに姿を見せていない伝統サークルも、指折り数えてみればいくつもあります。二年間にも及ぶ、事実上の活動禁止期間のなかで、継承や人材確保にあまりにもの苦難を強いられたサークルも少なくないのでしょう。
わが「古本屋研究会」は元気です。千客万来活況を呈し、初日の売上げもまずまずでした。文芸系の屋内展示が集るフロアには、同人誌や著書を展示販売するサークルが寄り集っています。現役学生諸君は気づく由もないでしょうが、こゝでも老舗の同人誌や特色ある定連グループのいくつかが、姿を見せていません。
古研元気といっても、見映えと内情とは別。中心メンバーは苦心惨憺です。古書店を観て歩く散歩サークルですから、集るな外を出歩くなでは、活動のしようがありませんでした。新入生を勧誘する機会も、デモンストレーションのお楽しみ企画をお眼にかける機会も、ありませんでした。
本来であれば気軽に自由参加の OB・OG でいられたはずの大学院生や、社会人になりたての連中までもが、活動を支えてくれています。
そんななか、不十分な告知のほんのかすかな糸を手繰るように出逢って、地味な散歩に参加してくれるようになった二年生・一年生もあり、わがサークルには後継者が育ちつつあります。
卒業生のなかには、芸祭古研となればアイツがいるだろうと訪ねてくれる諸君もあって、近況やら一別以来のことどもを耳に入れに寄ってくれます。「お会いできてよかった、おゝいに参考になりました」とお世辞を云ってくれます。ありがたいことです。十人近くものそういう顔ぶれに会えましたから、予約手続きまでして入構した甲斐もあったというものです。
徹夜明けでしたので、なんの手伝いもできぬ老人は、隅っこで居眠りばかり。閉店前においとましました。
エンジンはまだ修復できていません。マストは折れました。舷側は破壊されたまゝです。けれど、筏の姿となっても、芸祭は海原に浮んでおります。
江古田駅ホームには、南口前にあるフィットネスクラブの大広告があって、わたくし以前からこのモデルさんがとても気に入っておりますのですが、なにか?