
マクシム・ゴーリキーの短篇翻訳冊子をいただいた。月に一度の集金人さんからだ。
テレビも日刊新聞も遠ざけた暮しをして久しいが、世の中の底辺の動向をうっすらとでも感じたくて、とある週刊新聞とだけは今も付合っている。ことに地元の細ごました課題や、都議会区議会のもようが報告されるので重宝している。その週刊新聞の集金人さんが、毎月の末近くなると立寄ってくださるのである。
はじめは互いの職や経歴を披露し合う間柄ではなかった。数年経ったころ、彼は学部こそ違え、同母校出身の先輩でいらっしゃると知った。今でも趣味でロシア語の勉強をコツコツと続けておられ、ご自身の翻訳稿が完成するたびに、手造りの小冊子とされて、お手渡しくださる。以前にもチェーホフとツルゲーネフとをいただいた。今回はゴーリキーである。頭がさがる。
お返しにもならぬが、『蟻の周辺』を一冊お渡しした。
「へぇー、お若いかたが、こういうものを作ってくださるんですかぁ。羨ましいですなぁ」
と、感嘆しきりだった。いや、感嘆しているのは、こっちなんだが。
昨年大患を得られて、集金担当さんが変り、先輩は再起不能かもしれぬという噂までが飛び交った。が、療養とリハビリの効果いちじるしく、見事に復帰なさった。ただしヘルメットを被り自転車を駆っての集金は控え、効率がさがっても歩いて廻ることにしたという。それが好かったのだろう。もはや大患前と遜色ないほどの復調ぶりだ。
先月の集金時には、マイケル・ジャクソンのムーンウォークの練習を始めたいとおっしゃっていた。今日伺ったところでは、奥さまからもご家族からも厳しく叱られて、まだムーンウォークは始めていないそうだ。
用足しに出るつもりだったが、わが町内での軽い運動に切換える。駅の階段の昇り降りとする。途中に二か所の踊場があって、下から13,15,15,の計43段である。これを十分間連続で、昇り降りする。それ以上はやらない。週二回までとする。それ以上はやらない。老人の健康管理の専門家による教えを守っている。

鉄道に乗っての用足しは明日以降に日延べして、駅前のゼッテリアに入店する。カウンター前には、ウーバーイーツの配達員さんがたが行列をなしている。降り出すのやら降らぬのやら、空模様のはっきりせぬ日曜日だ。出前を取って自宅で過そうというお客さまが多いのだろうか。
わが方はといえば、いつもの絶品チーズバーガーと珈琲だ。二階席の隅っこに陣取って、ゴーリキーを読もうかと思うだけのことだ。
そして帰り途に、サミットストアで梅干とニンニク紫蘇漬けとを、ビッグエーでは牛乳のリットルパックとインスタント珈琲とを、買って帰ろうと思っている。
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【以前の口上の繰返し】
当「一朴洞日記」のセレクト冊子『蟻の周辺』を知友にお届け申しあげたいのですが、日ごろメールやSNSでの交信をさせていただいていて、お届け先を存じあげぬばかりに、お届けできずに失礼してしまっているかたが、少なくありません。
お届け先が判り次第、お送り申しあげます。
また、雑司ヶ谷「古書往来座」(池袋より徒歩7分、03‐5951‐3939)店頭にてもお渡しできます。お店のかたにひと声、おかけください。
同店の通販サイトである「オンラインストア『往来座編集室』」へお入りくださいますと、通販にてお求めになれます。ただしその場合には、本体無料ながら、荷造り送料のみ申し請けます。
【繰返しもうひとつ】
『江古田文学』編集部主催の「文章講座」で、今年もお喋り申しあげます。息をして動くナマ多岐をお眼にできる最後の機会となるかもしれません。(昨年も一昨年も申しましたが。)
日 時:7月18日(土) 14:00~15:30(受付開始は 13:30~)
会 場:日本大学藝術学部 西棟5階、文芸学科ラウンジ
(西武池袋線「江古田」北口より徒歩2分)
参加費:3,000円
(文芸学科生および江古田文学会会員は無料)
当日受付もできます。ただし、お席は予約者さま優先となります。


















