一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

あの坂道

パンフレット(チケット半券付き)14公演 代々木小劇場と聴いて、あゝアレ懐かしいね、なんぞとおっしゃってくださるかたも、めっきり少なくなったのではないだろうか。演劇集団変身の常打ち小屋だった。 代々木ゼミナール本校の裏手にあたる下り坂を、突当…

憧れ

2021.3.17.番組動画より、無断でいただきました。 熱烈かつ冷静な鉄道マニアの青年が発信し続けている、ユーチューブ番組「謎のちゃんねる」に、惹きつけられている。 鉄道マニアの動画は、私なんぞには見当もつかぬほど数多いのだろうが、この番組はとにか…

楽だ

青銀色光線を何割だかカットしてくれる眼鏡だそうだ。 機械には自分でも呆れるほど無知だから、ビックカメラのパソコン館へは、たまにしか行かない。それでも興味はわずかにあって、お上りさんよろしく、店内をたゞウロウロしてみる。消耗品や初心者用のスペ…

立ち姿

プログラムとチケット半券(1966) 木下順二作『オットーと呼ばれる日本人』宇野重吉演出、劇団民藝公演。一九六六年九月の再演だ。新劇史に残る名作名演との噂には接していた。が、初演は一九六二年。私は世代的に、間に合っていない。 いつか再演をとは、…

どっかの

『文藝春秋 芥川賞・直木賞150回全記録』より無断で切取らせていただきました。 山田詠美さんが『ベッドタイムアイズ』でデビューしてきたとき、おっ、佳い作家が出てきたな、と思った。 若い女性作家が、デビュー前に女王様やってたとか、ボーイフレンドが…

感想の発明

梅干の種とは、いつ別れたらよいのだろうか。口中でさんざん舐めまわして、ほとんど味がしなくなったところで、これで梅も成仏できようと、掌に出す。ふとした好奇心から、ゴミ袋へ放らずに、醤油皿に取って、俎板の隅に置いておく。陰干し状態だ。 次の食事…

出現

公演プログラム、チケット半券(1965~66) 劇団民藝公演『ゴドーを待ちながら』。フランス留学を了えた渡辺浩子さんが、自訳と演出プランを手土産に帰国し、演出した。 むろん私は、ベケットのベの字も知らなかった。たゞ雑誌『新劇』『テアトロ』に眼を通…

憶えて

『道場破り』(松竹、1964)より、上田吉ニ郎。 喜劇役者として実力は認められながらも、脇役に徹してきた長門勇の、初主演作品。腰の低いおとぼけキャラに見えて、じつは神道無双流極意皆伝の腕前。妻の妙(たえ)と次なる仕官の道を求めて、浪々の旅をして…

文句なし

肩の荷をひとつ、降せた一日。 現職の若手教員と、ようやく面談できた。前々から約しながらも、オンライン授業につき登校不可能状態が続き、叶わなかったのだ。面談といっても、私はもはや部外者につき、おいそれと入構することはできない。珈琲館で待合せた…

ひょっとしたら

『めくらお市 みだれ笠』(松竹大船、1969)より 松山容子さん主演のヒットシリーズ。今も鮮明に記憶する高齢者は多かろう。 吉永小百合さんを、岩下志麻さんを、倍賞千恵子さんを大女優とお称びして、反対の手が上ることはあるまい。が、松山容子さんを、お…

秋の蝶

散髪屋さんへの道すがら、季節ごとの花壇が売りの公園前を通る。春の花々とは、どこかしら異なる気配を感じる。気のせいか。こちらの気分の問題に過ぎぬのだろうか。 蝶が一匹、写り込んだ。どーこだ? サークル活動の学生諸君が来訪。大学院生と四年生と三…

具合好く

学生有志諸君が明日来訪とのこと。大学祭(今年は開催するらしい)での催しの打合せと、在庫チェックだとのこと。拙宅が、サークルの資材と在庫の倉庫となっているのだ。同時に、案内印刷物の都合で、私の姿写真を撮影したいとのこと。写真学科の上級生を連…

空気感

エリザベッタ・フランキ2022春夏 フィナーレ 乗馬倶楽部のあと、最新のロケ地は、大理石の石切場(採石場)だ。イタリー本土にこういう所があるのだろうか。それとも地中海上のどこかの島ででもあろうか。 主題は、ヴァカンスでやって来た富裕階級のリゾート…

枕だけ

エリザベッタ・フランキ2021-22秋冬 心愉しまぬとき、時どき思いたって、エリザベッタ・フランキ(ELISABETTA FRANCHI)のショウの動画を観返す。 ヴェルサーチやバルマンのような、突き出すものが鋭い、いわば尖ったショウが好きだが、気分・体調によっては…

五百年

弥勒菩薩像(江戸中期)。ご案内状から無断で切取らせていただきました。 金剛院さまは、開創五百年に当られる。来春、記念法要を予定しておられるが、ご時世ゆえ見通し不透明な問題もあって、たいそうなご苦労とのことだ。 記念法要は什物のひとつ弥勒菩薩…

ぜいたく

自民党総裁選とその後。新聞もテレビも、さぞ賑やかなことだろう。こういう時は、いつも以上に報道を眼にしないように心掛けている。日が経ってから、まとめて多角的に観る。俗説に振回されると、対局を誤る。だいいち、私ごときが、政治に敏感であることな…

若返り

ヨルダンで今、新世代アカツキが闘っている。 アジアカップのグループリーグ。緒戦、対インド133-46。第二戦、対ニュージーランド60-50。第三戦、対韓国67-62。すべり出し三連勝。最終ライヴァルはむろん、オーストラリアと中国だ。 インド戦は、現状から…

金八

助六寿司。スーパーでもコンビニでも、そう称ばれている。 申すまでもなく語源は、江戸歌舞伎十八番『助六所縁江戸櫻』(すけろくゆかりのえどざくら)。粋という江戸の美意識はまずもってこの主人公により代表される、と云い継がれてきた。お相手の遊女の源…

無銘

韓国海苔というものに、幾度かお眼にかかった。日本でも、愛好者が増えているとのこと。一度だけ、いただいてみた。美味い不味いの問題ではなく、日本の海苔とは、別の食べ物だ。むろん韓国海苔にだって、ピンキリがあろうし、たまたま私がいただいたものが…

ちょうどいゝ

東京には老舗の名菓・名品かずかずあれど、気取りのない、ちょいとした手土産といった進物で、しかも東京ならではの特産となると、はて思案に余る。と、昨日のブログに書いたところ、友人からご助言。そりゃ海苔だろう。 あっ、そうか。とんだ迂闊だった。ご…

五キロ

従兄弟から、新米が届いた。地元仕様の、生産者の顔が見える米である。ありがたい。父方母方とも、親戚の半分は新潟県民だから、拙宅は東京に住みながら、米を買った経験がほとんどない。 私と同齢の彼は青山学院大学の文学部史学科卒。民俗学や文化人類学に…

到達

ビッグエーはディスカウントスーパーを標榜している。昔当った広告コピーに、「同じ品ならどこより安い」があったが、それだ。 落着いて眺めれば、「同じ品」とは申しがたい品物が多い。そこは賢い主婦たちのこと、個人商店さんと別のスーパーさんと当店さん…

親子その後

菊池寛(1888-1948) 『父帰る』は明治四十年頃の設定。道楽三昧とにわか事業の失敗から、妻と三人の子を置去りに、情婦と逐電した父が、尾羽打ち枯らした姿で二十年ぶりにひょっこり帰宅する噺だ。 かつて父なき一家は極貧に喘ぎ、一家心中未遂にまで追込ま…

サイドステップ

老人は、夜更けに買物、という噺。 一昨日と一昨々日、二日続けてパスモを使った。久方ぶりだ。カード類で買物をせぬよう心掛けているし、タクシーを拾う機会もなくなった身には、パスモは鉄道運賃専用と申してよく、いっこうに残高が減らない。 鉄道での外…

手立て

現代で、ですか? 好きなファッションモデルですか? そりゃなんてったって、カーリー・クロスってことになりましょう。 たゞ昨年十月でしたか、妊娠を発表。今春第一子ご出産でしたから、こゝしばらくはランウェイを歩いてませんよね。有名ブランドのコレク…

ご命日

詣り墓(左)と埋め墓 埋め墓に、兄・本妻・長男(早逝)・長女桃子(作家)・事実上の妻(生涯の伴侶)ともども眠る。 詣り墓の文字は、志賀直哉筆跡。 背後には、サルスベリ大木。 廣津柳浪墓 昭和三年歿。享年六十七歳。 息子およびその家族の埋め墓に向…

順ぐり

江戸中期の集約 彼岸入り。金剛院さまでも、本堂と大師堂の観音扉が開かれ、どなたでもご本尊や弘法大師像を拝見できる。 当然お詣りするとして、それとは別に、常日頃から興味を惹かれているのは、近隣の石仏を集めて円錐形に積上げられた塚である。もとは…

名案

両口屋是清、不動の三菓仙。左より「旅まくら」「よも山」「志なの路」。 久方ぶりにパスモを使う。池袋へ。彼岸詣りの準備だ。二十五年来、ナントカのひとつ憶え、両口屋是清である。 かつて盆暮れも春秋彼岸も、菓子をお供えしていた時期があった。仏様に…

きっとそう

幸いにして東京は、まだ暴風雨や洪水・崖崩れに見舞われていないが、油断してはならぬ雲行きだと、ラジオが云っている。そうだろうなと、私なりに思う。昨日今日、窓の隙間や換気口から、やたらにクモが室内に入って来るからだ。 一日で上る雨ならば、彼らは…

我が軍

我が軍、最前線の戦闘部隊、関の孫六中隊。 たかがメロンを切るだけのことなのだが、いずれの包丁を使うか。果物専用ナイフなど持合わせぬ身としては、少々思案のしどころだ。 重要案件に対しては、まぁ命までは盗られまいと、ほどほどかつ気軽に決断してし…