一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

十日ほど前に書いたはずなのに、まだブロンズ・カウボーイの動画を観ている。 彼は通常土曜日ごとに動画アップするそうだ。二〇一四年からの動画が拾えるところをみると、ウェブ上にいったい何百の動画が浮んでいるものか、数えられない。しかたなく、高評価…

ところで×2

『地の群れ』ATG機関誌(パンフを兼ねる)とチケット半券。熊井啓監督作品(1970.1.) 慎重に考えたら何も云えなくなってしまう。それは不誠実だ。チャランポランに考えてこそものが云える。それが誠実というものだ。 映画『地の群れ』の原作は井上光晴の同…

カケガネ

門扉のカケガネが合わない。我が家の下、地中では、なにが起っているのだろうか。 夜の音に、じっと耳を澄ませて過すことがある。真夜中は深閑として音もないなどというのは嘘で、じつに多くの音が聞えてくる。夜間ならではの音というわけでもない。昼間も音…

じつはすでに

ATG機関誌(プログラムを兼ねる)、チラシ、半券(1966.7.11) 心に刺さった小さなトゲが、人の一生を左右する。 映画史に暗い高校生でも、『市民ケーン』の題名は知っていた。めったに上映される機会のない、旧い名作だと聴いていた。なんと、昭和十六年に…

一段

父の命日。十三回忌である。花長さんへ。金剛院さまへ。誰に云われたのでもない、自分で荷造りした肩の荷を、やれやれ、どうにかひとつ降ろした。 一周忌も三回忌も七回忌も、法事らしきことはしてこなかった。親戚や生前ゆかり深かりしかたにご連絡して、時…

掲示板

プログラム、チケット半券(1980.12.28.都市センターホール1階R列15番) 女王様:お願い、ってどうしたらいゝの? だって、したことないのだもの。 老兵士:まずこの娘さんの前に膝をついて、「どうか」とおっしゃってください。 サムイル・マルシャーク作…

西向く侍

ジョン・スタインベック(1902‐1968) ――大切なのはここまでやってきたことではない。西へ向って進みつづけたそのことが大切なのだ。 ――やがてわしらは海に出た。それですべてはおわった。 『開拓者』西川正身訳 盆地の牧場に育ったジョーディ少年は、山の向…

ご提供

大豆の保存に失敗して、カビが生えてしまったことから、納豆ができたと聴いた。 ブロック塀の内側へ落ちたカリンの実は、下が土だから、即日アリや微生物たちの栄養となり始める。往来側に落ちた実だけが、たまたま私が早起きもしくは遅寝で表に出た場合のみ…

堂々と

西部開拓史のテーマパークで奇跡が起る。撮影ポイントに置かれている、休息姿のカウボーイのブロンズ像が、突然動いたのだ。 世界中で、PRANK(いたずらドッキリ!)動画が、連日ユーチューブに挙げられ続けている。映像が鮮明なもの、背景環境が整っている…

樹木

カリン、サクラ 二週間に一度、金曜八時から、少年たちは力道山を熱烈応援した。間の週はディズニーランド・シリーズ。 ――ディズニーランドには四つの国があります。「開拓の国」「冒険の国」「未来の国」「おとぎの国」。さぁ今日はどの国へ。 子どもに一番…

どこからか

困ったときの民間伝承か。間違った我流かもしれないけれども。 もはやこの時期の季節感ともなりつつあるのが、忘年会のお誘い。もとより世間が広くはないので、数は知れているが、そのぶん熱心なお誘いだ。例年であればお断りできない、またお断りしたくない…

手札

かく申す私も、無難で安上りということか。 銭湯のいゝところのひとつは下足場だ。履物入れの小棚が無雑作に並び、それぞれ扉には薄ぺらいポケットが貼り付いていて、番号が振ってある。各ポケットには同じ番号の手札が差してあり、この手札がない番号は現在…

劇的

山崎正和(1934‐2020) この時代に生れ合せたことは、私の罪なのでございましょうか? なんとも鬱陶しい問いだ。すぐ「運命」なんて言葉に直結してしまいそうだ。現在の感覚からすると、根源的ではあるが大袈裟に過ぎて、陳腐とさえ受取られかねない。しかし…

ナンですが

牡蠣だけではなく、同じ奥様からはホタテもいたゞいた。これほど型のいゝのは、これまた何十年ぶりかで手にする。貝殻のこの形には、独特の思い入れがある。 中高六年一貫の男子校に入学して、まず選んだ部活は地質部だった。中は岩石班・鉱物班・古生物班に…

するねい!

ご近所の奥様から、殻付きの牡蠣をいたゞいた。こんな立派なものを手にするのは、何十年ぶりだろうか。 三陸の牡蠣。岩手県山田町から到来物のお裾分けとのこと。山田町といえば、宮古市のすぐ南。かの津波災害では、住いや加工場や船や漁具どころか、港から…

揚げびたし

揚げびたし。思い出しながらにしては、まずまず。四五日ほどは食卓小鉢のひとつとなる。 起床後まず最初にすることは、体重測定だ。ヘルスメーターは洗面所に。喉保護のために首に巻いて寝たタオルを、タオル掛けへ。下着を脱ぎ、太郎を洗面台に置いて、文字…

不滅

とかく男と女というものは……。今想えば、そういう問題だったのかなぁ。 『とべない沈黙』について、高校生だった私に与えた衝撃と影響は「深刻」だったなどと、いさゝか思わぜぶりだった。なんともはや、無責任な申しようだ。短兵急に云えば、人間関係って、…

その日

こゝまで来たら、最後まで付合おうじゃねえか。なぁ、太郎! 洗濯機を回すあいだに、八百屋よりも先に、まず時計屋に駆け込んだのにはわけがある。太郎(我が腕時計の名)の電池切れだ。時計屋のご主人には、毎度同じお願いのしかたをする。 「俺同様、だい…

情緒

我が壮観。乾燥機三台使い! いよいよ待ったなしだ。今日こそ洗濯を! 眼醒めると同時に、寝床のなかで覚悟を固めた。 体重・体温・血圧。測定と記入を済ませて行動開始。 通常の下着・靴下にジャージ・パジャマその他、それにアタックの箱も入れて一袋。シ…

さま

『とべない沈黙』(「アートシアター」Vol.38)、チラシ、チケット半券。 もはや真実は、幻想をもってしか掘り起せないほど深くに埋れてしまったのか? 世にも美しい映像で突き付けられた不可能性の提示は、高校生に深刻な影響を残した。 札幌の虫捕り少年は…

解らん!

「祭や」さんが新装なって開店した。自粛要請に真先に応じて、半端営業などせずにいさぎよく休業に入ってしまったから、さて、どれほどぶりの営業となろうか。 (どうかマツリヤではなく「サイヤ」と読んでください。営業:火~土、19時頃~。) 私としても、…

淡々と

このところ話題に出てこないところをみると、熱が冷めたのか、などと思われては、はなはだ心外だ。 Wリーグは始まっている。まだ天下分け目の関ケ原に差掛っていないだけだ。リーグ戦日程の常道だが、前半は昨年下位チームと当る。東京羽田ヴィッキーズ、シ…

反国家

尾崎秀実(1901‐1944) 木下順二の代表作のひとつ、戯曲『オットーと呼ばれる日本人』は実話をもとにした現代歴史劇だ。軍国日本を弱体化させるべく尽力した、コミンテルン(国際共産党)指導のスパイ事件、世に云うゾルゲ事件を題材にしている。キーパーソ…

自重

林達夫(1896‐1984) 『デカルトのポリティーク』が書かれたのは昭和十四年(一九三九)。『反語的精神』は昭和二十一年(一九四六)。その間に戦争・敗戦があったが、林達夫の姿勢・着眼にはいさゝかの揺るぎもなかった。 新スコラ派がはびこる。哲学が教室…

残念ながら

いずれも、NickxarさんによるYouTube動画より 彼女らは一秒後、容姿からは想像もつかぬ大絶叫をする。五秒後には、大笑いのあまり身を折ってうずくまったり、両手で顔を覆ったり、天を仰いだりしている。 Bush Prank 動画には中毒性がある。他愛のないドッキ…

白鳥

飯坂温泉の温泉玉子だという。珍しい。いかにも躰に好さそうだ。 昨日、さぞかし弛みきった顔をしていたことだろう、吉瀬美智子さんと実際にお逢いしたらどうしようなどと妄想逞しくしながら、パソコンに向っていると、インタホンが鳴った。日ごろなにくれと…

一日中

ネット上をふらふらしていたら、「一度でいいからHしてみたい女優ランキング」という投稿に出喰わした。テレビレスとなって何年にもなる私でさえ知る女優さんが、ずらりと並ぶところを視ると、だいぶ前の投稿らしい。恋人にしたい、ではなく、一度でいゝから…

テメ―

年末近くにでもなって、冷気がピーンと音をたてるかのような朝に、我慢して襟を立てゝご近所を歩くと、微動だにせぬ強さを誇るかのように、コイツが咲いていることだろう。園芸店の店さきにも、ハボタンとシクラメンくらいしか、鮮やかな色彩を奏でるものが…

助走

――口上―― 記録によりますれば、本年五月三日に当ブログ立上げましてより、本日が数えまして百八十四日目。満半年を閲したることにと、あいなりましてございます。 お付合いくださいましたるありがたき読者さま、お励ましくださいましたるかたじけなき皆さま…

ミジカッ!

敵は本能寺ということが、そうか、ニュースにもあるのか。 一歳児がパンを呑込みそこなって、喉に詰らせて亡くなったという。三センチ角のパンだそうだが、まさか立方ではあるまい。三センチ平方で厚みが食パン薄切ていど、といった意味だろう。ちょっと曖昧…