一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

ご逗留中

キリスト

横尾忠則「キリスト」(版画) 四月八日は花祭だ。お釈迦さまの誕生日である。華やかに祝う地方も場所も、今だってあることだろう。 わが幼き日には、母からガラスの三合瓶だか五合瓶だかを持たされて、使いに出された。金剛院さまのご門前では、甘茶が振舞…

かたまり

「麒麟」(作者:赴**)雲南省石林、庶民工芸。1980年ころよりご逗留中。 太古中国の伝説上の一角獣。雄を麒、雌を麟と云う。世に聖人が出現するときにのみ、姿を見せる。 省都昆明から十五人乗りマイクロバスで四時間半、峨々たる石の景勝地石林地区に到…

くぐつ

真鍋呉夫(1920-2012)、長らくご逗留中。 心に残る文士であられた。 駆出し編集者だったおり、真鍋呉夫さんの原稿を、いたゞきそこねたことがある。 句集『雪女』で藤村記念歴程賞と読売文学賞とを受賞されて、お見事な大復活をとげられるよりも前のことだ…

選択

司修(1936- )銅版画、拙宅玄関内に長らくご逗留中。 思わぬ経緯から一昨日、記念品として美術品をいたゞいてしまったことがきっかけで、そうだ、ふさわしい次の所有者へと正しく手渡さねばならぬものもあるよなあ、ということが思い浮んだ。 もとより美術…

ふたつの世界

風祭竜二切絵版画『金剛院全景図』、昨日よりご逗留中 開創五百年記念品として、金剛院さまより額物を拝領した。風祭竜二画伯による切絵版画。 さっそく仏壇脇に飾らせていたゞくが、こういう作品は永く残る。むろん私が現世を了えても、次なる持主の手へと…

道理

廣津和郎様、永らくご逗留中 晩年の広津和郎は、松川裁判が不当裁判ではないかとの疑いを抱き、検証・批判に全力を注ぎました。 刑法議論をしたのではありません。あくまでも文士らしく、第一審・第二審の判決文や裁判記録の微細な矛盾をも見逃さずに、克明…

正念場

むのたけじ様、もうおひと部屋にも、ご逗留中。

たいまつ

むのたけじ様、永らくご逗留中。 1945年8月15日、勤務先の朝日新聞社に辞表提出。 権力に抗しきれず、戦争を煽った新聞社の一員であったことの責任から。 地方紙に籍を置いた後、1948年元日、家族五人で秋田県横手市に帰郷。農村新聞『週刊たいまつ』創刊。 …

セーヌ河岸

風間 完 様 ご逗留中。 『風間完銅版画集 パリ時代Ⅲ 河』(11点組)のうち「河岸」。(8,8×8,8cm)銅板製作1978年、刷り1979年。限定75部のうち、第52番。 もと組みものだったはずが、私ごとき末端へと流れつくまでにバラとなり、神保町R書房様より拙宅へと…

冬籠り

折々は 妻のうとまし 冬籠り 秋聲 徳田秋聲様、正宗様と同年同月よりご逗留。

日暮れ

行けど行けど 道はかどらず 日は暮れぬ 白鳥正宗白鳥様、平成27年4月より、ご逗留