一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

事なきことは

赤い肉まん、緑のあんまん。

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 宮城・福島大地震で火力発電所が被害を受け、一般家庭にも節電要請が発せられたと記してある。脱線した東北新幹線の修理点検には、まだまだご苦労があり、全面復旧は来月だと記してある。
 児童・生徒らの新学期は、ようやくリモートオンリイから解放されて、通常に登校できるもようだと記してある。教育は伝達ではない。やはり対面は大事だというようなことが記してある。

 いずれも大切なニュースとは承知しつつも、当面自分への直接影響は乏しく、それより今日は花冷えだなどと書いてある。いつものベーカリーから、いつもの総菜パンを買ってきたなどとも書いてある。
 花冷えだ天候不順だと云っても、植物は凌いで開花し、咲き了えるのはたいしたものだ、草樹も地中生物たちもなんと賢くて偉いもんだろうかと、なんとまあ世間知らずの暢気きわまる日記である。

 一年後の今日はラジオニュースの編成担当者泣かせの日だという。声高らかにトップニュースとして掲げたい材料が目白押しで、優先順位が決らないそうだ。
 総理大臣がウクライナを電撃訪問して、大量戦死者の御霊に献花し、大統領と会談したという。回り持ち当番で議長の番に当っている先進国首脳会議に、ゲスト出演してくださいとお願いしたという。先方も有効な宣伝になるだろうからということで、一分一秒でも惜しい戦争中だというのに、気を遣って歓待してくださっているようだ。
 おりしも同日には、中国国家主席がロシア大統領を訪問しているという。
 世界野球大決戦大会では、日本チームが決勝戦アメリカ合衆国チームに勝って優勝を果したそうだ。準決勝の対メキシコ戦も手に汗握る逆転サヨナラ勝利で、二戦とも注目選手がたは期待どおりの大活躍。画に描いたような感動ストーリイだったという。

 私はと申せば、ヤマザキや井村屋との細目比較検討をすべて終了し、このところ軽食には中村屋の中華まんばかりを食べている。肉まん・あんまん各三個、計六個袋は税込みでも六百円をわずかに切る。蒸すのふかすのの手間はかかるけれども、一個およそ百円。総菜パンよりも安い。

 で、ほんらいなれば塩辛なんぞを容れておくべき小容器に、かようなものばかりが溜ってゆく。事なきことは、果して佳きことかどうか。

 深圳の港には、空のコンテナが七層に積みあがっているそうだ。コンテナの自重の関係からか、作業クレーンの高さの事情からか、物流コンテナというものは七層以上には積みあげられぬものだそうだ。
 上海の港では、深圳港ほどの場所がないために、コンテナ置場が港の外へ溢れ出しそうで深刻だという。つまり荷物がないのだ。
 コンテナ輸送のトラック(トレーラー)運転手の生活苦が深刻だという。深圳港から広州までの輸送費は、三分の二にダンピングされているという。
 多くの国々が、国際物流拠点や貿易相手国としてヴェトナムやインドに注目して、シフトを完了しつつあるという。資本を引揚げて支社を閉じ、中国から撤退した企業も多いらしい。
 日本の大手新聞も地上波も、いっさい報じていないらしい。どうせ私はテレビを観ないし、新聞も気が向かねば読まないけれども。