一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

ブログ道

当「はてなブログ」表示画面より。

 世に云う「炎上」というようなことは、私にはありえない。ありがたい少数読者さまやどこのどなたと承知している知友といった、いわばごく限られたサークル内に向けて更新されてきたブログの気楽さである。同時に情けなさでもあるけれども。
 それでも時おり爆発とまではゆかぬまでも、数字が「跳ねる」ことがある。身辺些事を粗雑に取上げただけの私の日記に、その日だけ特筆すべき事件が記録されたわけではない。その日だけ私の文章の出来が良かったなどということもありえない。このたびようやく理由が判明した。

 当「はてなブログ」に搭載されたさまざまな機能のほどんどを、私は活用できてない。よりどっぷりと活用しようとの気概に乏しく、研究にも試行にもすこぶる不熱心だ。この程度の機能が活用できて、最低限の満足が得られれば、それ以上は望まないといった、志の低さが原因となっている。
 登録読者数や閲覧数を増やしたければ、仕事なり趣味なり分野をきっちり絞りこんで、集中かつ深堀りした内容としなければならない。ゴムホースを伸ばして庭に水撒きするさいに、長さが足りぬ一画にまで水を飛ばそうと思うなら、ホースの先端を指で抓んで、ノズルの細い状態にしてやればいい。だれしもが経験する常識的知恵だろう。焦点を絞りこむ! 広告担当社員時代にも、三流売文渡世時代にも、共通するイロハのイだった。

 レイアウトや画面美術にも、もっと気を使わねばならない。また検索等により同好の士を探し、募り、連携する努力も必要だろう。ランキングや日々のトピックにも、感心を怠ってはなるまい。人気ユーチューバーたちが「コラボ」と称して、互いのチャンネルに相互出演し合いながら、視聴者の互換性と双方の登録数増大を図るのも、当然の戦略だ。ブログにだって、なにかしらの手立ては考えられるはずだ。
 それらいっさいの努力を、私はする気がない。むしろあらゆる努力は金輪際こりごりであるといった、怠けごころ至上主義に居直っているといえよう。だから発展性に乏しい。そんな私のブログにあっても、時たま数字が「跳ねる」理由に見当がつかず、はてな? とかねがね思ってきたわけである。

 私の「一朴洞日記」はツイッターフェイスブックにも掲げてあるから、偶然どこかの有名人か、あるいは世にインフルエンサーと称ばれるらしい有力者のお眼にとまって、リツイートなり引用コメントなりしてくださったのだろうか。かつてピコ太郎さんの PPAP ダンスギャグが、ハリウッドスターの眼にとまったことから、アッという間に世界的ギャグとなった極端な例もあった。そのミニミニ版でも一時的に発生したのだろうか。

同上。

 そんなたいそうなことが私の身に起るはずもなく、いやこれも私ごときにとってはたいそうなことではあるのだが、真相は灯台もと暗しで、「はてなブログ」のフロントページにあった。「編集部が選んだ、これまでのおすすめ」というコーナーに、わが「一朴洞日記」七月五日分「夜明け仕事」が紹介されてあったのだ。
 これから「はてなブログ」に足を踏入れようとする初心者またはお試し読者へのサービスだろうか、それともかようなページから未知のブログへと触手を延ばし出逢いを模索しようと図る、意欲的登録者も多いのだろうか。
 ともあれ、ゼロに落込みはしないが目覚しく発展することもないわがブログにあっては、その昔理科実験室で交された懐かしき用語である「特異数値」が、突如わが画面に表れたのである。

 たいそうありがたく、また光栄だ。が、せっかくのご好意とご縁とからお立寄りくださった読者さまには、お気の毒でもある。なんとも申しわけない。仮にご興味を抱いてくださったとしても、その前日なり後日なりの日記をお眼にされると、失望なさるのではあるまいか。なにせまったく一貫性がないのである。まちまち、でんでんばらばら、あれこれ混淆、まだらまだらなのである。
 ご推奨に与った当該日記「夜明け仕事」とは、人通り皆無となった深夜に、とんでもない無精から溜りに溜った洗濯物袋ふたつを背負って、老人がとぼとぼとコインランドリーへと赴く噺だった。
 思い出したが、過去に数値が「跳ねた」うちの一回は、納豆の私流掻き混ぜかたを詳述した回だった。その時は「編集部推奨」でなはなく、トピックのバナーから入った「料理・レシピ」の欄に拾っていただいたのだった。
 あぁコレですか。この程度でしたら、タグを手繰っていただきますと、過去にいくらでも出てまいります。いと情なきわが平均レベルですから、どうぞお気軽にお立寄りくださいまし。そしていささかなりとも見どころありとおぼし召したまわり、今後もお立寄り願えますようでしたら、どうぞお気軽に読者登録なさってくださいまし。

 ただしあらかじめご承知おきを。スタートダッシュの時期を過ぎてからのこの二年間は、平均すれば月にお一人づつしか読者が増えてこなかった、地味ぃ~な日記である。