一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

玉子記念日〈お礼〉


 「これもそれもありがたいね」と思うから師走四日は玉子記念日

 停滞日記である。消滅せぬかわりに発展もしない。限られた読者さまや知友に向けて、取るにも足らぬ平々凡々の日常を、わが生存確認のごとくに投稿し続けてきた。
 登録読者さまの数は、二年半かけて百五十から百八十へと微増。日々の閲覧数グラフも、一定範囲に収まる傾向にある。いわば閉ざされた空間での同好会的ブログである。
 そんなブログの閲覧数グラフが、稀に跳ねることがある。原因はおよそ二大別される。ひとつはインフルエンサー効果で、数多くの登録読者をお持ちのかたが引用もしくはリポストしてくださった場合だ。もうひとつは「はてなブログ」本部が、注目に値するブログとしてご紹介くださった場合である。

 三日ほど前のわが日記を、「はてなブログ」先頭ページにて、あれこれありうるブログのひとつの例として、お採り上げくださった。ひと月のあいだひたすら玉子焼きを作ってみたものの、腕前が上達しなかった噺だ。
 で、今日のグラフは跳ねている。当方としては、コマ割りの多い写真使用で情報量を使い過ぎにつき、本部からお叱りを受けるのではないかと、内心ひやひやしていたところだった。

 画面右袖に昨年・一昨年の同月同日の日記はと、明示される機能がある。過去のわが日記を読返す気などほとんど起さぬ私だが、アイキャッチ写真に惹かれて、アレレッ俺はなにを書いたんだったろうかと、ついついクリックしてしまうこともある。偶然のことに昨年も一昨年も、十二月四日には頂戴物の礼状が書いてあった。
 齢若い友人で編集ライターのながしろばんりさんは、私にとってはパソコンの先生のお一人だ。パソコン119番である。なん十年か前に私の教室に在籍されたご縁を多とされて、今なおなにくれとなく面倒を看てくださる。年寄りの体調と好みとをよくご承知くださって、名代蕎麦ズラリとお贈りくださった。年末年始のわが愉しみとなる。


 ジャズ・ヴォーカリストにして作曲家の丸山繁雄さんは、旧い学友でかつての悪友のひとりだが、先年大病されて、残念ながらステージでのブルースもスキャットも聴けなくなった。しかし昔から学究肌の人で、ジャズ史やアフリカン・ビートの発生にまつわる研究論考をものされて、芸術学博士号をお持ちだ。東京ばかりか名古屋にも九州にも教室をお持ちで、各地のお弟子さんがたから尊敬されている。
 苦労をともになさってきた夫人を先年惜しくも亡くされたが、お子たちお孫さんたちに囲まれ、支えられながら、指導者としてアドヴァイザーとして現役活動しておられる。眼にしてから美味そうなハム・焼豚ズラリと、お贈りくださった。これまた私自身ではけっして買わぬ高級品だ。暮れ正月のわが贅沢となろう。

 かくして今年も、師走四日は頂戴物へのお礼である。