一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

十万あくせく〈口上〉

 
 7時35分~8時50分。

 朝夕ふいに吹き来る風に、たしかに秋ではあるなあと感じる昨今でございます。あなたさまのご身辺では、またお住いの地域では、いかがでございましょうか。

 暑い夏でございました。めったになかったことでございますが、夏痩せをいたしました。が、それほど悪い状況とは自覚しておりません。
 以前、手術を受ける準備の入院中に、固形食糧を断たれ、二十日ちかくも点滴のみで生かされておりましたさいに、娑婆にあってはどう我慢しても実現できなかったほどの減量が達成されたことがございました。減量というより痩せ衰えではありますが、退院してみますと、積年の腰痛が自然解消していたという、おまけが付いておりました。日常動作はたしかに楽で、長年習慣としておりましたステッキを手放しました。
 手術を了えて退院後の一年間で、体重はじりじりとリバウンドいたしましたが、さすがに最重量期の不健康にまで復することはなく、ある範囲で上下するようになりました。大雑把に申せば、三十キロ減量して、十キロリバウンドした勘定となりました。
 それがこの夏、五キロ八キロと減りましてございます。不健康によるものか、むしろ歓迎すべき事態かは、これから調べてまいろうかと考えおるところでございます。

 のっけから興醒めな話題で恥入りますが、夏バテ気味の私は、なにかにつけてふいの睡魔に襲われて、ほとほと往生しおる昨今でございました。草むしりを済ませて冷水シャワーを浴びますと、デスク前でコックリしたくなり、炊事・食事・洗いものを済ませますと、キッチンテーブルに突っ伏して五分間睡眠するといったていたらくでございました。
 これは根本的に睡眠不足なのであろうと思い立ちました私は、昨日のこと、よしっ、とばかりに爆睡計画を立てました。どうかお嗤いくださいませぬよう。六時間睡眠を目指して目覚し時計をセットする習慣ながら、途中一度か二度は眼醒めてトイレに立つ私でございます。ぶっ通しで六時間熟睡できれば、たいそうありがたいことなのでございます。
 昨日午後も蒸暑うございました。まだ陽のあるうちに、缶ビールのプルトップを引きました。ラジオの大相撲放送を聴きながら、ワインを小タンブラーで二杯。これでどうだっ、とばかりに、打出し太鼓もそこそこに浴室へ向い冷水シャワーをたっぷり。夕方六時十五分には就寝いたしました。アイスノン枕もセットしたし、これで午前零時までグッスリだ!
 が、残念、十一時半に眼が醒めました。トイレを済ませてから、目覚し時計を再セット。今度は明朝六時まで。日課としている腰痛予防のストレッチ体操をまたやってから、就寝し直したのでございました。
 どういう加減か、今度はよく眠れました。目覚し時計の電子音を、久びさに心地よく聴きました。

 体重と血圧の日課測定を済ませ、水分・糖分の補給をし、冷水シャワーを浴びまして、さてパソコンを開いてみますと、当日記を開設以来の総アクセス数が、九万九千九百九十九とのこでございました。初投稿から一千二百三十日目でございます。
 何時何分何十何秒に十万アクセス達成かを視とどけたい気も、一瞬生じかけましたが、それがどうしたという気も同時に湧きまして、煙草とおやつのパンを買いに外出いたしました。戻りまして、ふたたびパソコンを開いてみますと、達成されておりました。
 日ごろ私は、アクセス総数にはさほど注意を払ってまいりませんで、もっぱら自分本位に投稿日数にばかり注意してまいりました。日数の区切れ目に、あなたさまへのご挨拶〈口上〉も申しあげてまいりました。ですが、十万となりますと、噺はいささか穏やかではございません。よくもまあ、かように雑駁な日記をと、驚きとともに感謝の想いがしきりと湧いてまいります。ありがとうございます。

 〈口上〉のたびに申しあげてまいったことでございますが、一部知友およびごく限られた読者さまにのみ知っていただいております、秘密結社のごときブログに過ぎません。また広い世の中には、一投稿にて十万アクセスを達成なさるチャンネルも数多いと伺いました。私には想像もつかぬ世界でございます。
 私はこのやりかたを変える気はございません。お読み甲斐の乏しい文章ばかりかとは存じますが、時に思い出されましたら、今後ともお立寄りくださいますよう、伏してお願い申しあげます。