一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

クッキー

NHK-TVで「パパは何でも知っている」を観ていた。アメリカの親って、やさしいんだなぁと思った。民放で「名犬ラッシー」を観ていた。長ぁ~い顔したコリー犬など、身近に視たことがなかったから、アメリカにはこんな高級犬がいるのかと思った。いずれも心温…

修業の成果

十返肇は、もともとは下戸だったそうで、結婚当初も、飲む習慣はなかったという。 「あなたも文壇付合いが必要なんだから、少しは飲めたほうがいゝんじゃないの」 千鶴子夫人の忠告もあって、遅まきながら酒の修業に踏出したそうだ。ところが、めきめきと腕…

セーヌ河岸

風間 完 様 ご逗留中。 『風間完銅版画集 パリ時代Ⅲ 河』(11点組)のうち「河岸」。(8,8×8,8cm)銅板製作1978年、刷り1979年。限定75部のうち、第52番。 もと組みものだったはずが、私ごとき末端へと流れつくまでにバラとなり、神保町R書房様より拙宅へと…

かずかず

思いいだせば恥かしきことのかずかず~。 ご存じフーテンの寅さんが、手紙の冒頭に振る、常套挨拶文だ。 齢をとると、ありがたいことに、辛かった記憶は薄れてゆく。楽しかった記憶・嬉しかった記憶も、日増しに薄れてゆく。記憶から情感が剝れてゆくとでも…

己惚れ

文学・芸術志向が強い若者たちの話し相手という仕事をしていると、自主映画を撮影するので協力してほしいとの、依頼を受けることがある。 あるとき、役者として出演しろとの依頼があった。私をイメージ・キャストとして、台本を書いたという。立場上、若者の…

夏痩せ

台風が近くにいる影響なんだとか。風もあって、やゝ凌ぎやすい日だ。 トライアスロンの女子選手たちも、次々ゴールできたようで、よかった。前日の男子選手たちは、じつにお気の毒だった。テニスの男子選手にも、重症者が出たという。台風がもう一日早くに、…

どうしたものか

やりました。やってくれました。オリンピックの本舞台です。 兄妹金? 何それ…。バド、卓球、テニス? 興味ありません。水泳、体操? そういえば何か云ってたようですね。いえね、女子バスケ3×3ですよ。 今大会の画像ではありません。あしからず。 緒戦いき…

植物染料

「文学の鬼」と異名をとった宇野浩二については、盟友広津和郎あるがゆえに、多くが語り残されている。なにせ学生時代以来の親友で、文壇にあってもお神酒徳利さながら、つねに一対のごとくに視られてきたご両名だから、当然だ。 藤村花袋、菊池芥川、横光川…

がら空き

夜中が作業時間だ。起床は午過ぎ。ぐっしょり寝汗をかいている。発汗は健康法ともいえるが、眠っている間の熱中症には、気をつけねばならない。洗濯物は溜る。下着二日分とパジャマとタオルケット、それに枕カバー代りのバスタオル。シャワー場のタオルも二…

かつてほど

まがりなりにも社会の一員と自認していた当時、俺はなんと無趣味な朴念仁かと、人知れず嘆いたものだった。車も運転しない。ゴルフもやらない。得手不得手より以前に、手を染めようかと思ったことすらなかった。 仕事にはいくぶんか差支えた。仕事をくださる…

ままになって

大きな観光の目玉などない町だが、コロナ騒ぎの前は、キャスター付きのスーツケースを曳く外国人さんを、しばしば視かけた。こぢんまりしたホテルのほかに、民泊と云うのだろうか、軽便で家庭的な宿泊施設が、何件かあるからだ。 池袋に近い。ということは新…

それほど

金剛院さまの駐車場脇に、小区画が区切ってあって、不動尊がお祀りしてある。新しい住民さんのなかには、ご存じないかたもありそうだが、かつて駅北口周辺を賑わせた毎月三回八の日のご縁日は、このお不動さまのご縁日である。今では名残として駅前に、お好…

かぎる

仕事の方針は、心掛けは、抱負はと訊かれて、お若いアスリートさんや芸能人さんが、「感動と勇気を与えられるような」なんぞと応えているのを耳にすると、索然たる想いに襲われる。そりゃあ私だって、感動することも、勇気づけられることも多々ある。だが自…

ついつい

駒子以外にもう一人、重要な女性がいる。トンネルを抜ける列車で、偶然島村と同じ車両に乗り合せていた葉子だ。澄んだ眼と、「悲しいほど美しい声」の持主と表現される、こちらは掛値なしの美少女である。 映画では、岸恵子の駒子に対して、葉子は八千草薫。…

左手

あれから半年。顔かたちの記憶は薄れてきたのに、この左手の人差指が、彼女を憶えている。忘れられない。だからその女に、会いに行く。島村がトンネルの向うへと旅立った理由だ。 左手が、女になにをしたというのだろうか。乳を揉んだか、股間を探ったか。感…

足技

トンネルの向うは雪に閉されていると承知で、冬の温泉場へ出掛けた島村という男、じつはこれが二度目の温泉場行きだった。 最初は半年前のこと、一週間ほど山歩きしての帰りしな、東京へ直帰するのも味気ない気がして、いささかの旅情をもとめ、いやあけすけ…

窪み

冒頭第一文。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた。」読者は雪景色を想い浮べてしまう。そんなこと、書いてない。雪国にだって、芽吹きの春もあれば、緑したたる夏もあるのに。作者によるマジックだ。 第二文。「夜の底が白くなつた。」夜だとは報さ…

興味あるなら

『縮圖』は、この非常時に軟弱な小説はまかりならぬと、権力の横槍で連載中止された、未完の新聞小説。作者徳田秋聲は昭和十八年に他界したから、敗戦後に気を取直して書き継がれるということもなく、終った。 物語は銀子・均平夫妻の半生記。銀子は芸者上り…

冬籠り

折々は 妻のうとまし 冬籠り 秋聲 徳田秋聲様、正宗様と同年同月よりご逗留。

けれども

荻上チキさんの「セッション」という、TBSのラジオ番組を頼りにしている。時勢の要点を多角的観点から教えてくださるので、助かっている。その日の国会の模様などを、ご担当の放送記者の眼で視たままにリポートしてくださるのも、貴重だ。 東京都議会議員選…

動機

拙宅菩提寺の蓮華山金剛院さまは、御府内八十八か所霊場巡礼の第七十六番札所となっている。 檀家末席に加えていただいたのは、平成元年のことだった。父の郷里新潟の菩提寺さまと金剛院さまとが同じ宗派で、しかもなんという奇遇か、菩提寺ご住職とその頃金…

老耄

常であればまだ寝ている時間帯に、台所をしていたら、聴き覚えのある声がラジオから流れてきた。安住紳一郎さんの声だ。へ~え。古田新太さんをゲストに、腹を抱えるトークだったが、それはいいとして。 舞台公演中の古田さんが、んじゃ、とばかりに退席して…

いちおうは

ユーチューブで散歩していると、つねに何かしらのマイブームが生じるものだが、このところはKENKENさんのKENKEN IN THE WORLD というチャンネルを、集中的に観ている。フランスでオーガニック農業をなさっているらしい、日本人家族とスタッフが、マルシェ(…

筆跡

平野謙は、昭和文学の中盤・終盤の局面をリードした批評家の一人だが、ことに中盤(文学史で戦後文学と云われる)においては、同志とともに立上げた雑誌『近代文学』編集の一翼を担ってもいたわけだから、文筆者の肉筆原稿を眼にする機会も多かったことだろ…

日暮れ

行けど行けど 道はかどらず 日は暮れぬ 白鳥正宗白鳥様、平成27年4月より、ご逗留

きっと

ユーチューブで、私にも解りそうな昔の映画など観ていると、突然広告に切替わって、喫煙にはドラッグ以上の中毒性があるとの、最新研究結果のご案内が入ってきた。大学入試の結果にも、喫煙がおゝいに関係するそうだ。 さらに受動喫煙被害の問題。いまや煙草…

柿の花

揚句

サーッ

――口上―― 老いの手すさび、若き友人らに手を曳かれましてついうかうかと、この日記を立上げましたるは五月の三日。おかげさまで六十七日目にございます。 こゝでひと言、ご挨拶申しあげます。 当初方針めいたものとてなく、眼目第一は、おのれの痴呆進行への…

どくだみ

とんでもない

伊豆山(熱海市郊外)の土石流被害が、ことのほかお気の毒な状況という。ユーチューブやツイッターで動画に接するだけの私の眼にさえ、これほど届くのだから、テレビのある普通のご家庭では、一日中取沙汰が絶えないことだろう。 災害が起きるたびに、避けら…