一朴洞日記

多岐祐介の老残妄言

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ボケについて

NHKホームページから無断で切取らせていたゞきました。 今日の「ごごカフェ」の投稿テーマ(お題)は、「よみがえり」だった。 台所BGMとしてNHK「武内陶子のごごカフェ」を流しっぱなしにしていたら、トークゲストは春風亭小朝さんのご出演だった。電話での…

モーニング

珈琲館でモーニングセットなるものを、いたゞいてみた。 ゲラ戻しを急ぐというので、校正済みのゲラを編集部に持参した。正門守衛所付近。歩哨兼案内に立つかた、アルコール消毒器と体温測定機のデスクで視張ってるかた、受付窓口で入構者名簿を管理するかた…

責任

毎月末近くなると、ユーチュ-ブの収録日がやって来る。ディレクター氏が、機材持参で、拙宅へご来訪くださる。私はご指示のまゝに、喋るだけである。 生産性向上をめざして、さっさと収録すればよろしいようなものだが、私は生来、原稿を書き始めるまえに、…

ふだん使い

上坪裕介『山の上の物語――庄野潤三の文学』(松柏社、2020) 少壮気鋭の研究者による、第一作家研究。庄野潤三作品における「場所」のへの視線、「場所」の扱われかたに着目して、人が安らかに生きるとはどういうことかを考察した労作だ。 上坪裕介さんは学…

ぞろ目

空海(774-835) ――口 上―― 西高東低の気圧配置とか。まだまだ風の冷たい日が続いております。雪国では、記録的な豪雪の後始末に、たいそうお骨折りとうかゞっております。お住いの地域では、いかゞお過しでいらっしゃいましょうか。 迎春のお年賀以来でご…

事も無し

飲料水代りに、日に二度も、濃縮カルピスを薄めて、我がボトルに詰める。 なんたる贅沢。当方本日、事も無し。 キエフの中心街で、男子学生が二人(19歳と20歳)、インタビューに応えている。 ――親ロシア地区の国民の気持を、僕たちは知っています。彼らも、…

まんざらでも

『物知り博士』という短篇小説があった。 二人用船室の同部屋名簿にはマックス・ケラーダとある。どこの国のどんな奴だろうか? 気が重い。入室してみると、人影はないが、すでに荷は解かれている。トランクにはステッカーがベタベタ。洗面台には、いかにも…

本当です

拙宅内いずれの部屋へも、携えて移動する相棒は、旧式な電気ストーブだ。いつ頃から拙宅にあったものか、記憶していない。 燃費効率も悪いに違いない。今では「省エネタイプ」とでもいうのか、軽便で効率の良い製品が出回っていることだろう。でもスイッチを…

裸を観る

矢代幸雄(1890‐1975)、『隨筆ヴィナス』(朝日新聞社、1950)装幀・題簽・外箱カット 梅原龍三郎 「感覚のごちそう」。矢代幸雄は美術作品を定義して、しばしばさよう表現した。近代主義的・哲学的・心理学的・人生論的、つまりはあらゆる理屈っぽい芸術理…

念じる

梅に鶯、ビールに餃子、誰が決めたか猪鹿蝶。 ビールには餃子と決ったもんでもなかろうに。焼売の時期も長かった。ニラ玉にこだわった時期だってあった。6Pチーズと決めていた時期も。 古人いわく。馬には乗ってみよ、女には迷うてみよ。若者の言を摂り入れ…

大きな鍵

『文藝春秋』芥川賞特集から、もうひとつ。鵜飼哲夫さんによる『社会が震えた芥川賞作家の肉声』という読物がある。 第一回受賞の石川達三『蒼氓』から今回第一六六回までの、全受賞作家と作品とを視野に収めてなにか読物をという、編集部からのムチャ振りと…

潔い

『文藝春秋』恒例の芥川賞受賞作品掲載号。併せて創刊百年とのことで、特集読物が数篇並ぶなかに、宇能鴻一郎『芥川賞・ポルノ・死』がある。 作家志望のお若いかたに「講義」と称してお喋りしていた時代に、こんなふうに申したことがある。 ――諸君は宇能鴻…

更新

とんでもない速報が入ってきた。われらが町田瑠唯キャプテンが、WNBAでプレイすることになった。二月八日、ワシントン・ミスティックスとの契約が成立したという。 四月中にWリーグの全日程終了後、ただちに準備して渡米。五月から九月まで、ワシントンでプ…

豪勢

バナナは野菜です、拙宅では。好い時代となりました。 「サツマイモはすでに、フルーツです」との広告コピーに、上手いこと云いやがってと思っていたのが、あながちオーバーでもないんだなぁと認識を変えさせられた機会が、先日あった。品種改良の凄まじき成…

お膝元

両口屋是清「千なり」 二十五年来、進物に使わせてもらっている両口屋是清。名古屋に本店がある、茶席菓子の老舗だ。池袋の百貨店の出店と、取引きしてきた。今回はあべこべに、頂戴してしまった。包装紙の封印を視ると、名古屋三越栄店。ウワッ、本場もんだ…

雪判定

東京に大雪注意報が発令されました。明け方に想定以上の気温降下がある場合は、大雪警報に切替わる可能性も、と報じられました。不運にも実害に見舞われてしまった皆さま、お見舞い申し上げます。 しかし雪国の方がたは、どう観ておられることだかなぁ。 拙…

小窓より

雪が来るぞぉ―、今夜は寒くて仕事が手に着かんぞぉ―! こういう夜は、熱燗だな。仕事を断念した夜の退屈しのぎは、「ラジオ深夜便」と常備菜の仕込み・補充。 籠城戦に備えて、野菜は買い込んである。毎度おなじみ、揚げびたしか。便利な常備菜ではあるが、…

手土産

内定君のお父上は、青物の仲卸さんで、そのお父上つまり内定君のお祖父さまは、八百屋さんとして生涯を過して来られたという。その故か、用件で拙宅来訪のさいにも、珍しい手土産をくださったりする。近年の若者としては珍しい気遣いだ。 今回も、初めて視る…

女優の指

『乱』(黒澤明監督、日仏合作、1985) お若い時分の原田美枝子さんは、体当り演技もヌード場面も辞さぬ、押出しの強い女優さんに見えた。事実、仕事に向けた想いの深さには、尋常でなく凄まじいものがあったろう。立派な監督や佳い企画とも、次つぎ出逢われ…

今ふう

喫煙室 世間からまったく置いてゆかれた明け暮れ。しかもそれを不愉快ともしない。そんな身だから、よんどころない事情からたまに外出すると、新鮮なものに出くわす。 若者に訊けば、いずれも当節にあっては、珍しくもないものだそうだ。 「裏庭か駐車場か、…

思いとゞまる

2022.2.6. 於八芳園 過分なご紹介でしたが、もう教員は辞めておりましてね、素浪人のジジイでございます。 婿さんと逢いましたとき、どうもテエヘンな新入生が入ってきたもんだと、思いましたですよ。才能が溢れ余っているんです。自分でも持ち扱いあぐねて…

砂利の風合い

瀧井孝作(1894‐1984) ワタクシん処からほど近い川へ、瀧井さんが鮎釣りに来られるというんで、若いもんを二人、用意したんだ。 一人は筏で山へ入って、柄の長い大鎌を振回しちゃあ山林の下草を刈るのを仕事にしている男。もう一人は頭にキの付く鮎釣りマニ…

何歳?

モニカ・ヴィッティ(1931‐2022) 石原慎太郎さんが亡くなられた(2月1日、89歳)。蘇る記憶はいくつかあるものゝ、無念の想いとか、人生無常の感慨とかはない。たくさんの仕事をなさった、ご存分のご生涯と思える。 お仕事の評価に毀誉褒貶あるとは承知して…

食いきる

本日も完食! ご馳走さまでした。 自炊生活であるからには、通常完食だ。食いたいものを作り、食うべき分量を盛りつけるのだから、当然だ。つけ合せや飾りものを添えたりしないから、当然だ。たっぷりソースにまぶす料理も、汁に具を泳がせておいて具だけ食…

オイモッ

お土産に、干いもをいたゞいた。何十年ぶりかで口にした。記憶していたよりはるかに甘く、はるかに軟らかく、美味い。 サツマイモを口にする機会はめったにない。好物なのにもかゝわらずだ。理由はない。しょせんは一人家族の食卓。用途の多彩さと値段から、…

ハナミヅキ

そうか、こんなふうに咲くのか。 アメリカ合衆国南部、ジョージア州アトランタの、街から離れた裕福なお屋敷だ。夫に先立たれた、退職教師の老婦人が、独りで住んでいる。長年の奉公で気心知れた黒人メイドが、毎朝かよってくる。 息子は紡織会社の社長で、…

歴史

トゥキュディデス(b.c.460頃‐b.c.395) アテネに疫病大流行の年があってね。人ばかりか、犬も猫も死んだ。カモメも飛ばなくなっちまった。ひどいもんだった。運良く、生残ったがね。 そん時、世のありさまを記録したのさ。想定外の事態に人はうろたえるばか…

あれっ……?

あれっ……? 前もって、謝っておきます。アタクシ、よく知りもしないことについて、申しあげます。 自宅でテレビをつけない暮しをして、さぁて正確には記憶も記録もしておりませんが、十年にはなると思います。たゞ今現在の人気番組も、昨今最高人気の役者さ…